7月20日、上海で開かれていた世界AI会議(WAIC 2026)が、4日間の日程を終えて閉幕しました。100カ国以上から関係者が集まる大きな会議ですが、遠い世界の話ではありません。会期中、中国のAI企業が高性能なAIを相次いで発表し、その多くを「中身を公開して誰でも安く使える形」で出してきたからです。これは新潟の現場のAI利用にも、じわじわ効いてくる変化です。

何が起きたのか

図1: 世界AI会議(WAIC 2026)閉幕の3つのポイント。上海で4日間開催、中国勢が高性能AIを相次ぎ発表、オープンウェイト公開が加速

世界AI会議は毎年上海で開かれる国際イベントです。初日には中国の国家主席が演説し、AIのルール作りで国際協力を進める姿勢を打ち出したほか、29カ国が参加する協力組織の設立も報じられています。

注目したいのは企業の動きです。アリババは、米国の最上位モデルに次ぐ性能をうたう新しいAI「Qwen3.8 Max」の試験版を公開し、近く「オープンウェイト」で提供すると発表しました。オープンウェイトとは、料理でいえばレシピごと公開するような形で、他社や個人がそのAIを自由に動かしたり改良したりできる仕組みです。会議の直前には別の中国企業も同じ形で大型AIを公開しており、「高性能なAIを無料や格安で使える」流れが一気に強まっています。

新潟の現場にとって何を意味するか

まずポジティブな面です。AI同士の競争が激しくなるほど、私たちが使うツールの値段は下がり、無料プランでできることが増えます。外国語の案内文づくり、商品説明、お客様への返信文といった実務は、これからさらに安く身近になっていくはずです。道の駅や宿で増えている中国語圏のお客様への対応も、選べる道具が増えます。

一方で、無料や格安には理由があります。入力した内容がどこの国のサーバーに保存され、AIの学習にどう使われるかは、サービスごとにまったく違います。顧客名簿や取引先とのやりとりのような固有の情報は、規約を確かめる前に入力しないのが原則です。海外の新しいサービスほど、提供条件が急に変わる可能性もあります。

「どのAIを使うか」より「何をさせるか」

図2: AIを選べる時代の備え方の比較。特定ツールに詳しくなるより、指示文の型を自社に貯めればどのAIにも持ち運べる

今回の会議がはっきりさせたのは、AIは一社が独占するものではなく、電気や通信のように複数の供給元から選ぶものになっていく、ということです。そうなると大事なのは、特定のツールに詳しくなることよりも、「自分の仕事のどこをAIに任せ、どう指示するか」という型を自社の中に貯めることだと感じています。指示文(プロンプト)の型さえ手元にあれば、ツールが値上げしても、もっと良いAIが出てきても、そのまま持ち運べます。

明日やれる一歩

普段AIに頼んでいる仕事の指示文をひとつ、メモ帳やスマホのメモに貼り付けて保存してみてください。「お客様への返信文を、丁寧すぎない言葉で3案」といった短いもので構いません。それが、どのAIの時代が来ても使い回せる「自社の型」の1個目になります。選べる時代の備えは、この小さな貯金から始まります。