面接のたびに、その場の思いつきで質問していませんか。人手不足が続く今、せっかく来てくれた数少ない応募者を「なんとなくの印象」で見極めてしまうのは、お互いにとってもったいないことです。質問リストを事前に用意しておけば、聞き忘れがなくなり、応募者を同じ物差しで比べられます。そして、このリスト作りはAIが得意な仕事です。今回は、道の駅の直売所スタッフ募集を例に、AIで面接の質問リストを作る手順を紹介します。

なぜ「質問リスト」を先に作るのか

面接がうまくいかない原因の多くは、質問がその場の思いつきになっていることです。話が盛り上がった応募者の印象がよく見えてしまい、肝心の「土日に入れるか」を聞き忘れる。応募者ごとに聞いた内容が違うので、あとから比べようがない。採用の現場でよくある悩みは、たいていこの2つに行き着きます。

全員に同じ質問リストで聞くだけで、この2つは解決します。問題は「作るのが面倒」なことですが、そこをAIに手伝ってもらいます。

AIで質問リストを作る5つの手順

図1: 面接の質問リストをAIで作る5つの手順。人がメモを書き、AIがたたき台を出し、人が削って確認し印刷する流れ

手順1: 採用の背景をメモに書き出す

AIに丸投げする前に、まず自分で3つだけメモします。

  1. 募集する仕事の内容(例: 道の駅直売所のパート。レジ、品出し、生産者さんとのやりとり)
  2. 職場の状況(例: スタッフ5名、土日が繁忙、前任者は家庭の事情で退職)
  3. 面接で見たいこと(例: 土日に働けるか、お客様と気持ちよく話せるか、長く続けてくれそうか)

このメモの質が、質問リストの質を決めます。特に「面接で見たいこと」は3つまでに絞ってください。見たいことが多すぎると質問が総花的になり、どれも浅くなります。

手順2: AIにたたき台を出させる

メモができたら、次のプロンプトをChatGPTなどのAIに貼り付けます。【 】の中身を自社の内容に書き換えるだけで使えます。

あなたは中小企業の採用を手伝うアシスタントです。
以下のメモをもとに、採用面接で使う質問リストを作ってください。

【募集する仕事】
道の駅の直売所スタッフ(パート)。レジ、品出し、生産者さんとのやりとり。

【職場の状況】
スタッフ5名。土日が繁忙。前任者は家庭の事情で退職。

【面接で見たいこと】
・土日祝に無理なく働けるか
・お客様や生産者さんと気持ちよく話せるか
・長く続けてくれそうか

【条件】
・質問は10個以内
・「はい/いいえ」で終わらず、具体的な経験を聞く形にする
・応募者が答えやすい、やさしい言葉にする
・出身地、家族構成、思想信条など、仕事の適性に関係ない質問は入れない
・各質問に「この質問で見たいこと」を1行添える

手順3: 出てきた質問を「削る」

AIは真面目な質問をたくさん出してきます。ここからが人の仕事です。リストは増やすより削るほうが大事で、手順1で決めた「見たいこと」に直結しない質問から消していきます。面接時間が30分なら、質問は7〜8個で十分です。

手順4: 聞いてはいけない質問がないか確認する

出身地、家族構成、支持政党、宗教といった、仕事の適性に関係ない質問は、就職差別につながるおそれがあるとして厚生労働省が面接で聞かないよう求めています。プロンプトで「入れない」と指示していても、AIの出力は完璧ではありません。最後は必ず人の目で確認してください。この工程だけは、AIに任せず自分でやると決めておくのが安全です。

手順5: 評価メモ欄を付けて印刷する

各質問の下に「この質問で見たいこと」と空欄のメモ欄を付けて印刷すれば完成です。面接中は話を聞くことに集中し、メモ欄には「感じがよかった」という印象ではなく、応募者が実際に言ったことを書きます。あとで複数人を比べるとき、印象のメモは役に立ちませんが、発言のメモは判断の根拠になります。

現場でよくある落とし穴

図2: 質問リストの2つの落とし穴と対策。立派すぎるリストは応募者目線で削り、本番で見ない問題は印刷して持ち込んで防ぐ

ひとつめは、立派すぎる質問リストになることです。AIは「あなたのキャリアビジョンを教えてください」といった大企業の新卒採用のような質問も平気で混ぜてきます。直売所のパート募集でこれを聞かれたら、応募者は困ってしまいます。削るときは「自分が応募者だったら答えられるか」という目で読み直してください。

ふたつめは、リストを作ったのに面接本番で見ないことです。「リスト通りに聞くのは機械的で失礼では」と感じるかもしれませんが、実際は逆です。応募者にとっては、何を聞かれるか筋道の通った面接のほうがずっと話しやすく、準備してきたことを出し切れます。印刷して面接の場に持ち込み、順番に聞いてください。

明日やれる一歩

まずは手順1のメモ書きだけやってみてください。いま募集中の職種がなければ、次に募集しそうな職種で構いません。「仕事内容・職場の状況・見たいこと3つ」を紙に書き出す。10分でできる作業ですが、これさえ手元にあれば、応募が来たその日にAIで質問リストを作れます。面接は応募者を選ぶ場であると同時に、応募者から選ばれる場でもあります。準備された面接は、それ自体が職場の信頼につながります。