春の山菜、夏の枝豆、秋の新米、冬の雪下にんじん。道の駅や直売所の売場は、一年を通じて主役が入れ替わり続けます。ところが「旬が始まったことをお客様に知らせる告知」は、現場の忙しさに押されて後回しになりがちです。この記事では、季節商品の告知文をAIで手早く量産するための段取りと、SNS投稿・店頭POP・LINE配信の3種類のプロンプト全文を公開します。コピーして自分の商品に差し替えれば、今日からそのまま使えます。

なぜ季節商品の告知は後回しになるのか

図1: 季節商品の告知づくりを型にする前と後の比較。毎回ゼロから書く状態が、メモを埋めて貼り付けて確認する3ステップに変わる

新潟県内の道の駅や直売所の現場で、よく聞く声があります。

・出荷が始まってから告知を考えるので、旬のピークに間に合わない ・文章を書ける人が一人しかおらず、その人が休むと告知が止まる ・毎年同じ商品を扱っているのに、毎回ゼロから文章を考えている

告知が遅れる一番の原因は、文章力ではなく「書き始めるまでの段取り」にあります。何を伝えるかの情報集めと、どんな文体で書くかの判断を、毎回やり直しているからです。ここをテンプレとAIで型にしてしまえば、告知づくりは「メモを埋めて、貼り付けて、確認する」だけの作業に変わります。書く人が変わっても品質が揃うのも、型にする大きな利点です。

手順1:まず「素材メモ」を作る

AIに文章を書かせる前に、次の5項目を埋めた「素材メモ」を作ります。ここが仕上がりの8割を決めます。

  1. 商品名と品種・産地(例:黒埼茶豆、女池菜など、地域の品種名はそのまま書く)
  2. 販売期間の見込み(「7月下旬からお盆前まで」のように幅で書けば十分)
  3. 価格と単位(1袋400円、量り売り100グラムいくら、など)
  4. 生産者から聞いた今年のひとこと(「晴れが続いて香りが強い」など)
  5. おすすめの食べ方をひとつ(「塩ゆで3分半、余熱で仕上げる」のように具体的に)

この中で一番大事なのは4番の「生産者のひとこと」です。AIは一般的な商品の説明文なら、いくらでもそれらしく書けます。しかし「今年の、この売場の、この生産者の話」だけは、現場の人にしか集められません。逆にいえば、素材メモなしでAIに書かせると、どこの直売所にも当てはまる薄い文章しか出てきません。レジ横の雑談や集荷のときの立ち話で聞いた一言をメモしておく習慣が、そのまま告知の質になります。

手順2:プロンプトに素材メモを貼り付ける

ここからはプロンプト全文です。ChatGPTでもGeminiでもClaudeでも、そのまま使える書き方にしてあります。素材メモの部分を自分の商品に差し替えてから貼り付けてください。

テンプレ①:SNS投稿用(Instagram・Facebook)

あなたは新潟県の道の駅・直売所のSNS担当者です。
以下の素材メモをもとに、Instagram向けの告知文を1本書いてください。

【素材メモ】
・商品名:黒埼茶豆
・販売期間:7月下旬からお盆前まで
・価格:1袋400円
・生産者のひとこと:今年は晴れの日が続き、香りが強い
・おすすめの食べ方:塩ゆで3分半、余熱で火を通す

【条件】
・冒頭の1行で「入荷が始まったこと」を伝える
・150〜200字、絵文字は3つまで
・「日本一」「絶品」「幻の」などの誇張表現は使わない
・最後にハッシュタグを5つ(#新潟 #直売所 を含める)
・産地・品種・価格は素材メモのまま使い、推測で補わない

条件の最後にある「推測で補わない」の一文が重要です。これを入れないと、AIが気を利かせて産地の説明や収穫方法を勝手に付け足すことがあり、それが事実と違うと告知全体の信用に関わります。

テンプレ②:店頭POP用

あなたは直売所の店頭POPを作る担当者です。
以下の素材メモをもとに、店頭POP用の文章を書いてください。

【素材メモ】
(テンプレ①と同じ5項目をここに貼る)

【条件】
・「キャッチコピー15字以内」「本文50字以内」「生産者の声20字以内」の3部構成
・売場で3秒で読める、平易な言葉を選ぶ
・ゆで時間や価格など、数字を1つ入れる
・味や食感の表現は素材メモの範囲内で書き、誇張しない
・3案出して、それぞれの狙いを1行ずつ添える

POPは文字数がわずかなので、AIの得意分野ではないと思われがちですが、実は逆です。「3案出させて選ぶ」使い方にすると、自分では思いつかない切り口が出てきます。採用するのは人間、量を出すのはAI、という分担が現場では一番うまく回ります。

テンプレ③:LINE公式アカウント配信用

あなたは道の駅のLINE公式アカウントの配信担当者です。
以下の素材メモをもとに、友だち向けの配信文を1本書いてください。

【素材メモ】
(テンプレ①と同じ5項目をここに貼る)

【条件】
・スマホで読みやすいよう1文を短くし、3〜4行ごとに空行を入れる
・全体で250字以内
・冒頭は「本日入荷」など、今日お店に行く理由が伝わる言葉にする
・あおる表現は使わず、「なくなり次第終了です」程度にとどめる
・クーポンや特典には触れない(別の配信で扱うため)

LINEは通知が直接届くぶん、売り込み色が強いとブロックにつながります。だからこそ条件で「あおらない」「特典と混ぜない」と縛っておくのが、長く読んでもらうコツです。

現場でよくある落とし穴

図2: 現場でつまずきやすい3つの落とし穴(出力をそのまま掲載・季節感のズレ・文体のばらつき)と、それぞれの対処法の整理

テンプレを使い始めた売場で、実際につまずきやすいポイントを挙げておきます。

第一に、AIの出力をそのまま掲載してしまうこと。品種名・価格・期間の3点は、必ず人の目で素材メモと突き合わせてください。AIは地域品種の説明を他県の似た品種と混同することがあります。確認するのはこの3点だけ、と決めておけば、チェックは1分で済みます。

第二に、季節感のズレです。AIは全国標準の「旬」で書こうとするため、雪国の作型とは時期が合わないことがあります。新潟の実際の出荷時期は素材メモの販売期間が正であり、本文がそれとずれていたら書き直させてください。

第三に、回を重ねると文体がばらつくこと。これは、前回採用した投稿文をプロンプトの末尾に「参考例:この文体に揃えてください」として貼り付けるだけで解消します。採用した文章をひとつのメモ帳にためておくと、それ自体が自分の売場専用の文例集に育っていきます。

明日やれる一歩

最初の一歩は「素材メモを1商品分だけ書くこと」です。3種類の告知を全部作る必要はありません。次に入荷する季節商品をひとつ選び、5項目のメモを埋めて、テンプレ①のSNS投稿だけ試してください。所要時間はメモ10分、生成と確認で5分ほどです。

一度型ができれば、次の季節からは「メモを差し替えるだけ」になります。旬の初日に告知が間に合う売場と、ピークを過ぎてから告知する売場。その差は文章力ではなく、今日この型を用意するかどうかで決まります。