本日2026年8月2日、EU(欧州連合)でAI法の「透明性ルール」の適用が始まりました。ひとことで言えば、「AIと話しているなら、AIだと分かるように。AIが作ったものには、それと分かる印を」という義務です。海の向こうの法律に見えますが、私たちが毎日使うAIツールの姿を変えていくニュースです。

今日から何が義務になったのか

柱は大きく3つです。第一に、チャットボットなどAIと会話するサービスは、相手がAIだと利用者に分かるようにすること。第二に、AIが生成した画像・音声・動画には、機械が読み取れる「AI製」の印を埋め込むこと。第三に、実在しない場面を本物らしく見せる、いわゆるディープフェイクや、世の中の関心事についてAIが書いた文章には、その旨を表示すること。実務の進め方をまとめた行動規範には、7月末時点で約190の企業・団体が署名したと発表されています。

図1: EUで今日から義務になった3つの表示(AIとの会話・AI生成の画像や音声・AIが書いた文章)

新潟の現場に関係あるのか

義務が及ぶのはEU域内で、新潟の会社に今日から何かが課されるわけではありません。それでも、2つの経路で現場に届きます。1つはツールの標準機能です。世界中で使われるAIツールは、EUの基準に合わせて「AI製」の印を自動で埋め込む方向に動きます。日本で使う同じツールにも、同じ機能が載ってきます。もう1つは常識の変化です。ホームページを開くと出てくるCookie同意の表示も、もとはEUのルールでした。「AIが作ったものにはそう表示する」が同じ道をたどる可能性は十分あります。

気をつけたいのは逆の側です。チャットボットに人のふりをさせるなど、AIを隠して使う形は、表示が当たり前になるほど「なぜ黙っていたのか」という信頼の問題に変わっていきます。

線が引かれたのは「AIか人か」ではない

このルールで一番注目したいのは例外規定です。AIが書いた文章でも、人が編集し、責任を持って確認していれば、表示義務の対象から外れるとされています。つまり法律が引いた線は「AIを使ったかどうか」ではなく、「人が最終責任を持って確認したかどうか」。AIは下書き、確認と発信は人——現場で積み重ねられてきたこの型と、世界のルールが同じ場所に線を引いたことになります。確認をきちんと挟んでAIを使う会社にとって、このルールは追い風です。

図2: 表示義務の線引きは「人が編集・確認して責任を持ったかどうか」

明日やれる一歩

紙を1枚用意して、自社でAIがお客様に直接触れている場所を書き出してみてください。ホームページのチャットボット、AIで下書きした商品説明、AI翻訳の案内文。それぞれに「人が確認してから届いているか」の○×をつけます。×が付いた場所が、これから確認や表示の仕組みを整える候補地です。

ルールは海の向こうで始まりました。でも「正直に使う会社が信頼される」という流れは、国境に関係なく届きます。