詐欺メールが「自然な日本語」になってきた

かつての詐欺メールは、不自然な日本語や変な敬語ですぐ見破れました。ところが生成AIの普及で、詐欺側も自然な文章を量産できるようになっています。さらに「AIが自動で判定しました」「AIサポートセンターです」など、AIの名前をかたって信頼させる手口も出てきました。文面のうまさだけでは、もう見分けられない時代です。

では何を見ればいいのか。ポイントは文章ではなく「文章以外の3点」です。

  1. 送信元アドレスのドメイン(@より後ろ)が公式と一致しているか
  2. 「本日中に」「アカウント停止」など、急がせて考える時間を奪っていないか
  3. リンクを押す前に、リンク先のURLが公式ドメインかを確認したか

図1: 詐欺メールを見分ける3つのチェックポイント

観光・道の駅の現場でありがちなシナリオ

新潟の観光施設や道の駅でも、他人事ではありません。ありそうなのは、たとえばこんな流れです。

繁忙期のある朝、事務所のメールに「予約サイトの決済システムがAIの不正検知でロックされました。本日中に再認証してください」という連絡が届く。夏休みの予約を止めたくない担当者は、慌ててリンクを開き、IDとパスワードを入力してしまう——。急がせたうえで業務を人質に取る、これが典型的な型です。

補助金の案内をかたるメールも要注意です。「AI導入補助金の対象に選ばれました」といった文面は、AI活用を検討中の会社ほど開いてしまいます。心当たりのない「選ばれました」は、まず公式サイトや支援機関に確認しましょう。

見分ける目は「社内で共有」してこそ機能する

私が現場で感じるのは、詐欺メール対策は個人の注意力より「仕組み」で守るほうが強い、ということです。一人が見破っても、別の一人が開けば同じことだからです。おすすめは次の3ステップです。

  1. 「怪しいと思ったら、開かずにスクリーンショットを社内グループへ送る」を合言葉にする
  2. 送金・パスワード変更・再認証は、メールのリンクからではなく、ブックマークした公式ページか電話で行う
  3. 誰かが見破ったら「ナイス発見」と共有し、報告を責めない空気をつくる

図2: 怪しいメールが届いたときの社内共有3ステップ

明日やれる一歩

明日の朝礼か社内のグループLINEで、「怪しいメールは開かず、まずグループに共有」というルールを1つ決めて、全員に伝えてください。これだけで、誰か一人の「あれ?」が会社全体の防御になります。

AIは詐欺にも使われますが、過度に怖がる必要はありません。ふだんからAIに触れて「AIが書いた文章」の感触を知っている人ほど、違和感に気づきやすくなります。正しく注意しながら、AI活用は前に進めていきましょう。