AIに質問すると、いつでも自信たっぷりの答えが返ってきます。ところがその中身が数年前の情報だった、ということは珍しくありません。料金、営業時間、制度の条件。変わりやすい情報ほど、AIの回答は静かに古くなっています。
AIの知識には「締め切り日」がある
AIは、ある時点までの情報を学習して作られています。手元にあるのが「発行日の古い新聞の束」だと考えると分かりやすいでしょう。締め切り日より後に世の中で変わったことは、原則として知りません。
厄介なのは、AIが「知らない」と言わずに、学習した時点の情報を今の話のような顔で答えてしまうことです。文章は流暢で、口調は断定的。読み手が古さを見分ける手がかりは、ほとんどありません。危ないのは古い情報そのものより、「古いのに新しい顔をしている」文章のほうなのです。
観光案内の下書きで起きがちな失敗
道の駅で、周辺の見どころ紹介をAIに下書きさせた場面を考えます。頼めば近隣施設の入館料や営業時間まで親切に書いてくれますが、その料金が値上げ前の金額だったり、施設が昨年から冬季休館に変わっていたり。パンフレットやSNSに載せてしまえば、間違いは確認の機会がないままお客様へ直接届きます。
補助金や支援制度の情報も同じです。条件や締め切りは毎年のように変わるのに、AIは古い年度の内容をそのまま答えることがあります。
鮮度を確かめる3つの習慣
一つ目は、「いつ時点の情報ですか」と聞き返すこと。一問足すだけでAIの答えに留保がつき、答えの性格が変わります。日付を答えられない情報は、変わっている前提で扱います。
二つ目は、変わりやすい情報に印をつけること。料金・営業時間・制度・締め切り・役職名。回答の中のこうした言葉だけを確認対象にします。全部を疑うと続きませんが、印の部分だけなら数分で済みます。
三つ目は、最新が必要な情報を公式で裏取りすること。公式サイト・公式SNS・電話。検索機能つきのAIでも、引用元の日付まで見て初めて安心できます。
「変わりやすい情報を見分ける目」は資産になる
現場で感じるのは、この確認の手間は「変わりやすい情報を見分ける目」が育つほど減っていく、ということです。自分の業種で何が変わりやすいか。観光なら営業時間とイベント、6次産業なら表示ルールや資材の価格。一度書き出しておけば、AIの回答のどこを確かめるべきか迷わなくなります。そしてこの目はAIに限らず、パンフレットの増刷前チェックや引き継ぎ資料の点検にも、そのまま効きます。
明日やれる一歩は、AIの回答を仕事で使う前に「この情報はいつ時点のものですか」と一問だけ足すこと。鮮度を聞く習慣が、古い情報による事故の多くを防いでくれます。AIは締め切り日を持つ道具だと知っていれば、怖がる必要はありません。鮮度の確認だけ人が受け持ち、下書きの速さはこれからも遠慮なく借りていきましょう。