「加工品のラベルにアレルギー表示って何を書けばいいの?」——AIに聞けば、数秒で整った答えが返ってきます。ただ、その答えをそのまま使って大丈夫でしょうか。今回は、AIの回答を鵜呑みにして失敗しないための「3点チェック」を習慣にする話です。

AIの答えは「調べた結果」ではない

生成AIは、質問のたびに資料を調べて答えているわけではなく、「もっともらしい言葉の続き」を組み立てています。だから間違っていても口調は自信たっぷりですし、学習した時点より新しい制度改正やルール変更は反映されていないことがあります。「答えが出た」と「正しいと確かめた」は、まったく別のことなのです。

図1: AIの回答は「もっともらしい言葉の続き」であり、「答えが出た」ことと「正しいと確かめた」ことは別物だと示す対比図

ありそうな失敗シナリオ

6次産業の現場でいえば、加工品の食品表示をAIに聞いて、その回答どおりにラベルを印刷してしまうケース。表示のルールは改正されることがありますし、品目や販売方法によって扱いも変わります。間違ったラベルは刷り直しの手間だけでなく、回収騒ぎになれば信用に関わります。観光案内所でも、外国人のお客様に聞かれた免税や持ち込みのルールをAIの回答のまま案内して、実際は違っていた——という展開は十分ありえます。共通するのは、間違いに気づくのがお客様に届いた後だという点です。

使う前の「3点チェック」

AIの回答を仕事で使う前に、この3点だけ確認する習慣をつけてください。

図2: AIの回答を仕事で使う前に確認する3点チェック(出どころ・鮮度・当てはまり)の整理カード

  1. 出どころ:「その根拠は? 出典は?」とAIに聞き返す。答えられない、あいまい、という場合は要注意
  2. 鮮度:「いつ時点の情報?」を確認する。制度・料金・ルールの類いは、公式サイトで最新版を裏取りする
  3. 当てはまり:一般論としては正しくても、自社の品目・規模・地域に当てはまるかは別問題。最後は所管の窓口や詳しい人に確認する

「確認の相手がAIしかいない」が一番危ない

新潟で中小企業のAI活用を支援していて感じるのは、危ないのはAIが間違えることそのものより、確認の相手がAIしかいない状態だということです。AIの答えが不安になってAIに聞き直しても、同じクセを持つ相手に二度聞いているだけで、裏取りにはなりません。分野ごとに「ここで確かめる」という人間側の窓口——公式サイト、所管の役所、商工会議所や支援機関など——をあらかじめ一つ決めておくと、3点チェックは回しやすくなります。

明日やれる一歩

付箋に「出どころ・鮮度・当てはまり」と書いて、パソコンの縁に貼ってください。次にAIの回答を仕事で使う前に、その3語を指差し確認するだけです。慣れれば1分もかかりません。AIは調べものの入り口として優秀です。出口の確認さえ人間が握っていれば、怖がらずにスピードの恩恵を受けられます。